今年読んだ中で一番怖かった本
矢部宏治 著 『 日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか 』
娯楽としてのスリルもホラーも必要としない私は
現実の方がよほどコワくて震える
これは
たたかうべき相手が大きすぎやしないか
これではパーツ、パーツで闘争を繰り広げたところで
この国のありようは変わりようがないのではないか
読んだがゆえに
安保関連法案をめぐる国会審議には、憤りと同時に虚しさを感じていた
(もちろん誰がどういう発言をし、どう議論するかは決して無意味だと思わないので注目していたけれど
本書にて解説されている
日本国憲法よりも「日米安保条約」や「日米地位協定」の方が上位法である
という事実 (私は知らなかったよーーー(>_<)
( 「安保」はともかく「地位協定」の意味(問題)をちゃんと考えたことがなかったよーーー(/_;)
を、国会議員たちは周知しているから概ねああいう流れになるのだろうか
そして「官僚」という私には全くよくわからなかった存在について
とりあえず外務省・法務省に関してはそういうことかと
少しだけ断片的に理解した内容は
この国の深部の闇への恐怖を増加させた
国民の知る由のない密約の存在や
特定秘密保護法によってこれから更に国民に知らされることのない重大案件
が増えていくのかと思うとクラクラする
それでも
冒頭「はじめに」に書かれている
~それぞれの持ち場で最善を尽くす義務がある~
~崩壊し始めた「戦後日本」という巨大な社会を、少しでも争いや流血なく、
次の時代に移行させていく義務がある~
というくだりに共感する
見えないものへの恐怖から抜け出すためには
更に学び、知り、この時代に居合わせたひとたちと理解しあうべく
タブー無しに語り合うほかないのだろう
と思う
安保関連法案可決後の街頭インタビューなどのニュースでは
賛成意見の人の中に
個別的自衛権と集団的自衛権をごっちゃにしているひとが
少なからず居ることが見てとれた
それだけ理解が深まっていないということだけど
それは同時に
その辺りを明らかにしない新聞や報道があることの
あらわれでもある
原発報道もだけど、何につけ
日常的に得ている情報媒体によって
現実の見え方はうんと違う
いろんなひとと話したり読んだりすると
自分の無知さを痛感し、時に驚愕するけれど
「知らなかったらよかった」なんてことは何も無く
のんきでいられなくなるコワさ以上に
知るのはやっぱりうれしいことだと思う